日本の酒と食のペアリングが楽しめる店「季苑(KION)」
旬の食材で季節を感じる「料理」と海外から注目されている「日本の酒」をペアリングで味わう店「季苑」が銀座8丁目にオープンした。店内はカウンター8席のみでこじんまりとしていて、落ち着いた雰囲気。
店内は落ち着いた雰囲気
お店は、料理と日本の酒のペアリングのおまかせコースを提供するスタイル。
料理は、先付け1品、旬の食材をふんだんに使った季節の料理が3品と小さなおつまみ小鉢とそれぞれに合わせるお酒4種類で構成されている。料理を監修するシェフは季節ごとに代わるとのことで、お店に訪れる度に様々な料理を味わえるのも魅力だ。
4月、5月の料理を監修するのは、キャロライン・ケネディ氏が駐日大使だった時に総料理長を務めたマリベス・ボラーシェフ。キャロライン・ケネディ氏の任期が終了後、マリベスシェフは日米の企業での料理指導、コンサルティングなど行いながら、日本全国の生産者や酒蔵を巡るなど現在も日本に滞在している。
マリベスシェフは、ニューヨークの超有名フレンチ「ジャン・ジョルジュ」、イギリスのフレンチレストランに多大な功績を残した名シェフ、アルベール・ルーとミシェル・ルーの元で腕を磨き、ニューヨークのバーグドルフグッドマン内のレストラン「BG」で総料理長の経験をもつ実力派。
コンセプトプロデュースを手掛けたのは、レストランPR、食通たちも読んでいた伝説の雑誌「ARIGATTO」で編集に携わっていて、現在は食のPRとして日本のみならず海外のレストラン業界事情にも精通している、OFFICEK2Mの代表・村上由氏である。料理に合わせたお酒を選定しているのは、土井貴文氏。
4月、5月は
マリベス・ボラーシェフが料理監修
OfficeK2M代表の村上由氏
お酒のセレクトは土井貴文氏
有田焼の李荘釜の3段重ねの器
個性的なお酒と料理のペアリング
4月、5月の料理は、マリベスシェフが監修。
先付けの「きたあかりの自家製チップスと海藻サワークリームのディップ」を長野県宮坂醸造の「真澄スパークリング Origarami」と合わせた。海藻を混ぜたサワークリームの酸味と潮の風味がすっきりとした喉越しのスパークリングの泡と相性抜群であった。
季節の料理は、有田焼の李荘釜の三段重ねの器に1品ごとに入っていて、一皿終わると次の段のお皿へとワクワク感のある演出だ。
最初のお重は、カルフォルニアEXVオリーブオイルと鰹風味のパンナコッタ、パルメザンチーズと鰹節のクラッカーを栃木県惣誉酒造「惣誉 生もと仕込み 特別純米」といただく。真ん中のお重は、有機野菜のサラダに大豆とかぼちゃのフムス、別のお皿で提供される海苔とチーズのスティックパイ。この料理には、年間1000本しか生産されないという貴重な長野県井賀屋酒造の「岩清水 Niwaringo」とともに。最後のお重は、サクラマスのソテーにピーカンナッツ、味噌、ごまをペースト状にしたものを具にした玄米おにぎりと季節野菜のソテーを柑橘系と八角のスパイスでまとめている一品で、福井県三宅彦右衛門酒造の「早瀬浦大吟醸本生原酒」といただいた。柑橘系のソースとおにぎりの具のペーストが絶妙で、八角の香りと辛口の大吟醸とのハーモニーが素晴らしかった。小さい皿の香のものは、いちごとビーツのマリネにカマンベールチーズと長野の野沢菜で、デザートのような甘みのある料理だった。
個性的な日本のお酒のラインナップと、マリベスシェフの日本食材にチーズなどを組み合わせた和風テイストの創作料理を味わい、日本の魅力を再発見したような気分になった。大切な人と季節ごとに通いたい隠れ家的なお店である。
「銀座 季苑(KION)」
東京都中央区銀座8-7-10
FORGED Bld. B2
完全予約制